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是非その目で”風神”の変革と進化を見届けてほしい

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手前の誰でも届く距離にいるスレた魚よりも、遠くにいるフレッシュな魚の方が釣れる気がする…釣りを始めて、コツを覚え始めた中級者が陥りがちな迷宮がそこにある。市場にはその迷宮入りを助長するかのような『飛ぶルアー』が溢れている。そしてその飛ぶルアーとやらは飛距離を優先するがあまり、低速でリトリーブした時にアクションしなかったり、斜めに泳いだり、重すぎてレンジが表層をトレースできなかったりと、なんと酷いアイテムの多いことか。

クレイジーキャリーはその名の通り、遠投の釣りに特化させたモデルである。だが、ちょっと待てくれ。このモデルは前述のような無鉄砲に遠投をして、いるかいないかもわからないような魚を釣るロッドではない。普通のロッドでは届かないような距離のボイルや、流心の太い流れに居つくランカー魚、地形変化、流れの変化をピン撃ちするためのロッドなのである。

遠投ピン撃ちのスタイルのヒントになったのが、筑後川の『エツパターン』だ。川幅にして300~400m。エツパターンが通常と異なるのは、あまり岸寄りでボイルが起こらず、流心付近でシーバスが盛んにエツを追ってボイルする。距離にして100~200m。距離もさることながら、ボイルのあったピン、またはベイトであるエツが騒ぐピンスポットへ誤差1m以内の精度で落とさなければ意味がない。ただ遠投するのならば、バット部のしなりを生かして飛距離を稼ぐロッドを作れば、重量級を届かせるだけの飛距離は出せる。しかし、そこにアキュラシーを求めると、ダルさやティップのブレやロッド重量を徹底排除し、シャープに振れる抜けの良さ、軽さ、高反発力等々、飛ばすだけのロッドとは違うスペックが要求される。

ロッドの構想は5年ほど前からあったものの、Foojin’ADでは具現化できずにいた。だが、Foojin’Zのプロジェクトが立ち上がり、事態は急変する。最適な性能を発揮するように各モデルに異なる種類の素材を使用することがこのプロジェクトでは可能になった。こういうコンセプトの元ならば‘ピン撃ち遠投性’に振り切った性能のロッドを作ることが出来るに違いない。

2020年のシーバスゲームはただただクレイジーキャリーと向き合うことに時間を費やした。もちろんロッドコンセプトの原点となった筑後川はもちろん、普段の利根川の釣行にしてもなるべく大場所へ入り、キャストフィーリングを逐一チェック。無風や追い風で飛ぶのは当たり前。横風や向かい風の悪条件の時ほどロッドテストには重要なヒントがある。特にヘビーウエイト級のキャストにはペンデュラムキャストを多用するため、負荷のかかるバッド部分の硬さと粘りっ気に関しては何度もサンプルを作り直す作業を繰り返した。

‘風神’を冠にした血脈は飛距離が命。その飛距離について深く掘り下げたクレイジーキャリーこそ原点回帰にふさわしいモデルと言えよう。10フィートを余裕で超えてくるレングスなのに、この持ち重り感の無さ。軽いのに精強なブランク。ADとは全く別物。一振りすればすぐにわかると思うが、今回のZでラインナップされるロッドたちは、ADの開発延長線上にあるものではない。

ゼロからハイエンドモデルを構築したと言っていいくらいだ。また、一本一本が違う種類の国産カーボンシートを使用しているため、各モデルの性格がまるっきり違う。ADのように各モデルの共通項が無いのだ。これでこそ現代版の`Z’にふさわしい。是非その目で‘風神’の変革と進化を見届けて欲しいと思う。

APIA PRO STAFF 中村祐介(RED中村)

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