宇津木です。
近年わたしはライフワークとして、昔憧れた魚を釣る旅にハマっています。
今から数年前の50歳が目前に迫ったある時にふと、釣りにハマり始めて開高健の世界に憧れていた若い頃のことを思い出しました。20代の頃夢中で見ていた釣り雑誌「アングリング」には、自分たち若い釣り人にとっては夢のような釣りの世界が毎月掲載されていました。ジャイアントトレバリーやキングサーモン、スチールヘッドやターポン、ボーンフィッシュなどなど。残念ながら海外釣行は実現しませんでしたが、いつかきっとという想いは常に心のどこかにあったように思います。
海外には行けませんでしたが、ジギングでの国内遠征には随分と行ったものです。当時はPEラインが出始めということもあり、水深100m以深にメタルジグを落とすとよく釣れました。特に離島へ遠征し100m以深を攻めると、それこそ初めてメタルジグを見るであろう魚だらけだったので、面白いように釣れましたし、JGFAの日本記録やIGFA世界記録まで狙えたものです。遠征先には大きなバズーカを持って、どこへでも行きました。当時の航空会社は規定も緩く、大量のメタルジグが入っためちゃくちゃ重いケースや、とんでもなく長いバズーカでも、頼み込めばオーバーチャージなしで運んでくれました。
時代は変わり、現在は航空会社も厳しくなり、さらに長物に関してはとてもシビアです。わたしにしても若い時と違い、大きなバズーカを持ち歩くのがとても億劫になってきました。ただわたしが当時から決めていたのは、二度と行けないかもしれないような夢のフィールドへ遠征する際は、100%の性能が発揮できるタックルで挑むことでした。性能を犠牲にして、持ち運び優先でパックロッドを選択することは決してありませんでした。パックロッドは継ぎが多くなることでどうしても先重りがしますし、歪な曲がりがします。当然強度も落ちるし、何といっても各ジョイントのズレをいちいち直さなければいけません。2ピースでもこの作業は面倒なのに、継ぎが3つも4つもあるパックロッドでは、この作業は大きなストレスとなります。せっかく無理やり作った時間と、高いお金を使って行く遠征釣行に後悔はしたくなかったので、無理にでも大きなバズーカを持って行っていました。
ジョイントの進化と最適解
2021年に5代目Foojin’Zをリリースしました。このモデルからかねてより開発していたアピアオリジナルのジョイント「NANO JOINT」が搭載されます。わたしは昔からジョイントがズレることに大きなストレスを感じており、何とかこれを改善できる方法を常に探っていました。ジョイントの精度を上げるには、専用の機械の精度がものを言うので、それがある工場を探し、さらに柔軟性と強度を上げるために東レのナノアロイ技術®️をジョイントに搭載しました。試行錯誤の末、実用に至ると判断した「NANO JOINT」は5代目Foojin’Zに初搭載され、その後リリースするすべてのアピアロッドにも採用されることとなります。
(写真:5代目ゼータのNANO JOINT ※印籠継ぎ)
「NANO JOINT」を採用することとなり、アピアロッドでのジョイント問題(緩みや、ジョイントが突っ張ることによる折れ)は大幅に改善されました。その中には印籠継ぎだけではなく、高い強度が必要なモデルには並継ぎの「NANO JOINT」も作成しました。ここで気づいたのは並継ぎの「NANO JOINT」の精度の高さです。アピアのジョイントのテーパー差は2〜5/1000という驚きの精度で削っていますが(高級ロッドでも1/100mmが多い)、中でも並継ぎで削った際のブランク接地面は広く、ずれない、抜けないという理想的なジョイントができるようになりました。わたしは今まで、高級ロッド=印籠継ぎという常識に疑問すら持っていなかったのですが、この出来事があってから更にジョイントを研究していきました。前のマガジンでも触れましたが、並継ぎは強度が高く、印籠継ぎよりも軽量で、重心も手前に寄りやすいという特徴があります。ベンディングカーブのきれいさは印籠継ぎの特徴ではありますが、NANO JOINTの柔軟性は正直従来の印籠継ぎを超えています。あとはバット部が太くなりやすいという欠点を改良することで、現在のアピアロッドはすべて並継ぎの「NANO JOINT」となりました。「NANO JOINT」ありきですが、これがわたしの考える現段階でのジョイントの最適解です。
(写真:6代目ゼータのNANO JOINT ※並継ぎ)
ジョイントの進化がもたらす理想のモバイルロッド
並継ぎの「NANO JOINT」が完成した時、真っ先にモバイルロッドのことが思い浮かびました。少し前、村岡さんから遠征に向けたモバイルロッドのリクエストがあったこともあり、このジョイントがあれば今までにないモバイルロッドが出来るという直感があったのです。
スタートは3ピースから作りましたが出来は正直想像以上で、2ピースと全く違和感のないものができ、すぐさま今の形の4ピースの原型ができました。
テストはさまざまな人と場所で行い、じっくりと時間をかけました。村岡さんがさまざまな場所に携えて行き、その都度フィードバックをもらい詰めて行きました。濱本さんや、やんやんくん(北添くん)もボートでビッグベイトやボートシーバス、サワラなどで徹底的に使い込んでくれましたし、更にアピアの海外代理店にも協力を得ました。目指すところは従来のモバイルロッドの弱点を克服した、「強く」、「先重りせず」、「ジョイントがずれず」、「ベンディングカーブが綺麗」なシリーズです。わたし自身もハワイのボーンフィッシュ、オーストラリアのバラマンディ、タイのトーマンなどに携え、リリース前最後の遠征ではメキシコで150ポンドのターポンを釣った思い入れの強いシリーズとなりました。
(2025年7月:VOYAGER EXⅣ SILVER KING S78Hで キャッチしたターポン)
VOYAGER EXⅣのラインナップ
VOYAGER EX4はすべて4ピースで比較的レングスが短く、どちらかというと近海ボートゲームや小場所のオカッパリで使いやすいシリーズとなっています。「VOYAGER」は英語でボイジャー、フランス語ではボヤージュ、航海者や旅などを意味します。EXは「EXPLORER(探検)」や「EXPEDITION(遠征)」など、モバイルロッドのイメージと重なるため、4ピースならEX4、5ピースならEX5と、3ピース以上のマルチピースは「EX〜」との表記としました。
VOYAGERのブランクはTORAYCA®️第3世代カーボンM40XとT1100Gを中心とした素材構成となっているため、他のシリーズ同様「飛距離」と「強度」を兼ね備え、抜群の弾力を備えた性能が特徴です。ブランク外装には傷から守るアピア「シールドテック」の中でも、最も強度の高いテープを巻いています。(WORLD OCEANシリーズと同じもの)
(シールドテック:強度を上げつつ、小傷からブランクを守る特殊なテープ)
VOYAGERシリーズはアピアが今現在実現できる、強度アップへと繋がる技術を最大限入れたといってもいいでしょう。遠征釣行で最も怖いのは破損ですからね。
それでは最後に各モデルの紹介です。
【JET RUN S73L】スピニングモデル
Length:7’3” Lure:2-25g Line(PE):#0.6-1.2 Weight:121g Closed Length:66.0cm
ターゲット:チヌ、マゴチ、ライトロック、シーバス etc. (海外)ボーンフィッシュ、パーチ etc.
ティップがとても柔らかく、2gくらいのジグヘッドでも反発で投げることができるうえ、かなり強いベリーからバットを備えたモデルです。一見すごく柔らかそうでいて、シーバスや年無しチヌでも楽に寄せるパワーがあります。沖縄などのリーフフィンシングにも向いていますので、旅行や出張のお供に最適ではないでしょうか。濱本さんはSLJでクエを釣ってました!
ちなみにAPIA TVでも配信している、村岡さんとハワイでボーンフィッシュを釣っていたのはこのJET RUN S73Lです。2〜3gの軽量ジグヘッドを正確にアプローチできるアキュラシーと、ジェットランとも例えられる暴力的なロケットダッシュにプレッシャーを掛けるバットパワーを併せ持った仕上がりにしています。ハワイに行かれる機会がありましたら、めちゃくちゃオススメな釣りです。
(S73Lでボーンフィッシュをキャッチ:村岡昌憲)
VOYAGER EXIV JET RUN S73Lの詳細はこちらから
【SILVER SCALE S73ML】スピニングモデル
Length:7’3” Lure:3-30g Line(PE):#0.8-1.5 Weight:131g Closed Length:65.5cm
ターゲット:シーバス、チヌ、マゴチ、サワラ、ライトロック、リーフフィッシング etc.
ボートシーバスロッドでは一番ど真ん中といえるモデルです。GRANDAGE NAVALでもS68MLで同じシルバースケールというモデルはありますが、そのモバイルロッドバージョンと言えます。NAVALバージョンよりも弾力がこちらの方が高く、ファイト中はむっちりと曲がり、4ピースながら強度はこちらの方が高いです。
実は15年近く前に村岡さんと、ある大物プロアングラーMさんでコラボのボートシーバスロッドを出す企画がありました。(諸事情で流れてしまったが)その際2人が共通していたのは、不安定なボートの上、短いロッドとボートシーバスにはバラしやすい要素が多い。いかに魚を怒らすことなく柔軟に追従するロッドにできるかと言っていました。シルバースケールS73MLを進化した先端素材のカーボンで開発していると、ふとこのことを思い出しました。
(ボートシーバスに最適なS73ML:CHASE@大阪 森本キャプテン)
VOYAGER EXIV SILVER SCALE S73MLの詳細はこちらから
【SEAFARER S76M】スピニングモデル
Length:7’6” Lure:7-40g Line(PE):#1-2.5 Weight:140g Closed Length:66.5cm
ターゲット:サワラ、シーバス、中型青物、ロックフィッシュ etc. (海外)パイク、ザンダー etc.
「SILVER SCALE S73ML」と同じく、NAVAL 76Mのペットネーム「SEAFARER」とスペックを引き継いだモバイルバージョンです。サワラのジャーキングや中型青物、シーバスなどとても汎用性の高いモデルといえます。こちらもブランクはNAVALバージョンよりも弾力が高いため、ファイト中はむっちりと曲がり、4ピースながら強度はこちらの方が高い数値を出しています。
NAVAL 76Mをテストしていた5〜6年前は、サワラのジャーキングがまだまだ始まったばかりの頃でした。当時から東京湾のアングラーズスタッフ高橋キャプテンのご協力もあり、かなり詰めたものづくりが出来ました。最近は大阪湾でもサワラは好調で、アピアスタッフのやんやんくんも連日ハードなテストをしてくれており、更に進化した「SEAFARER」が完成しました。
(サワラのジャーキングに最適なS76M:シーマジカル@大阪 北添貴行)
VOYAGER EXIV SEAFARER S76Mの詳細はこちらから
【SPEED STAR S77MH】スピニングモデル
Length:7’7” Lure:14-60g Line(PE):#1-3 Weight:180g Closed Length:65.0cm
ターゲット:ワラサ、シイラ、シーバス、ロックフィッシュ etc. (海外)セイルフィッシュ、ターポン、パイク etc.
このS77MHとS78Hはシャープなハリ感に加えて、粘りを加えた素材構成にしています。大型魚のロッドを叩くような強烈な突っ込みを吸収し、ブランクが曲がるにつれてムチっと曲がる感じは安心感を与えてくれるでしょう。
実はNAVALでもMHクラスの要望があり、かなり前の段階からテストは行なっていました。途中からは4ピースでテストすることとなりましたが、マルチピースの違和感を感じなかったことは、当時結構な驚きでした。それに時間をかけた分さまざまな気付きがあり、最後までテストを繰り返したモデルで、わたし自身とても気に入った1本となりました。ワラサやシイラ、サワラなどさまざまなキャスティングゲームで使っていただけると思います。
(サワラや青物など守備範囲の広いS77MH:平林峰彦)
VOYAGER EXIV SPEED STAR S77MHの詳細はこちらから
【SILVER KING S78H】スピニングモデル
Length:7’8” Lure:18-80g Line(PE):#2-4 Weight:222g Closed Length:64.0cm
ターゲット:ブリ、シイラ、アカメ etc. (海外)ターポン、セイルフィッシュ etc.
VOYAGERシリーズではスピニング最強モデルです。S78Hはパワーだけではなく、非常に柔軟なティップを持っています。近海のブリやアカメなど、トップウォータープラグを繊細にアクションさせるには最適なモデルです。更にロッド全体の柔軟な曲がりは大型魚がロッドを叩くことがなく、魚の引きに追従して曲がるブランクは、体への負担をとても軽減してくれます。ちなみにわたしはこのモデルで150ポンドのターポンを釣った際、ファイト時間は1時間を超えていましたが、とても楽にファイトができました。遠征でのタックル選びはとても重要ですね!
(スピニングモデル最強のS78Hはブリなどに最適:中井佑一郎)
VOYAGER EXIV SILVER KING S78Hの詳細はこちらから
【REAL DEAL C63ML】ベイトモデル
Length:6’3” Lure:5-30g Line(PE):#0.8-2 Weight:127g Closed Length:57.0cm
ターゲット:シーバス、チヌ、ブラックバス、ナマズ、マングローブやリーフフィッシング etc.
港湾でシーバスやチヌをターゲットにするボートフィッシングに最適なモデルです。特にフリッピングやピッチングなどで効率よく攻めるには、このREAL DEALC63MLのシャープで柔軟なブランクは手返しの良さだけではなく、ルアーの直進性が高いためアキュラシーの高さは抜群です。またナマズやブラックバスなどにも使いやすく、日常で幅広く活躍するモバイルロッドです。
(フリッピングやピッチングに最適なC63ML:シーマジカル@大阪 北添貴行)
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【THE GREATEST C63M】ベイトモデル
Length:6’3” Lure:7-55g Line(PE):#1-4 Weight:131g Closed Length:56.5cm
ターゲット:シーバス、ブラックバス、ナマズ etc. (海外)ピーコックバス、バラマンディ、パイク etc.
小型のルアーから比較的大型のルアーまで対応する汎用性の高いモデルです。ロッド重量も軽く、キャストされたルアーの直進性も高いのが特徴で、特にストラクチャーや岸際を攻めていくようなピンポイントを狙っていく釣りに向いています。
昨年オーストラリアのバラマンディ釣行に行った際、ボートを流しながらひたすら岸際を撃っていきました。残念ながら結果はバイトのみでしたが、延々と岸際のピンポイントを撃っていく釣りはとても楽しかったです。長時間正確なキャストを続けるには、タックルの性能がとても大事です。
(小型ミノー~比較的大型ルアーまで扱うことのできる汎用性の高いC63M: シーマジカル@大阪 北添貴行)
(ナマズやブラックバスなど淡水のオカッパリにも使いやすいC63M:佐々木俊)
VOYAGER EXIV THE GREATEST C63Mの詳細はこちらから
【MAD DOG C63MH】ベイトモデル
Length:6’3” Lure:15-80g Line(PE):#1.5-6 Weight:151g Closed Length:54.5cm
ターゲット:シーバス、ブラックバス、アカメ etc. (海外)バラマンディ、トーマン、ピーコックバス、パイク etc.
中型のルアーから一般的なビッグベイトまで対応する、現代のボートシーバスでは汎用性の高いモデルです。ビッグベイトロッドMEGASOUL C63H+の1段階パワーを落としたモデルと思ってください。40〜70gくらいが非常に扱いやすく、コノシロ付きを食わせにかかるには最も出番が多いモデルでしょう。プロスタッフの濱本さんもこのモデルが非常にお気に入りで、最近ボートシーバスではこのモデルばかり使っているそうです。
(比較的重いルアーが非常に扱いやすいC63MH:シーバス、アカメ 濱本国彦)
VOYAGER EXIV MAD DOG C63MHの詳細はこちらから
【DESPOT C63H】ベイトモデル
Length:6’3” Lure:20-110g Line(PE):#3-6 Weight:153g Closed Length:53.5cm
ターゲット:シーバス、ブラックバス 、アカメ etc. (海外)パプアンバス、バラマンディ、トーマン、ピーコックバス、ドラードetc.
シーバスやブラックバス、さらにはアカメなどビッグベイトを扱うゲームに最適なモデルです。一見ハリが強く感じますが、実際キャストの際にはルアーは乗せやすく、とても投げやすいと感じられると思います。パワー感的にはMEGASOUL C63H+と同等くらいです。
昨年濱本さんとタイへトーマンを釣りに行った際はこのC63HとC63MHを使用しました。電車や飛行機を利用する方でしたら、このVOYAGERシリーズでの移動はとても快適です。あとSNSの動画内でも濱本さんが話していますが、この時は4日間の釣りでほとんどジョイントを調整しなかったそうです。(わたしもほとんどしませんでした)ジョイントの精度はモバイルロッドで快適に釣りをするにはとても大切な要素だと思います。
(ビッグベイトやパワフルなターゲットに向けたC63H:トーマン 濱本国彦)
VOYAGER EX IV DESPOT C63Hの詳細はこちらから
この「VOYAGER EXⅣ」は、ここ数年アピアが取り組んできたTORAYCA®️第3世代カーボンやシールドテックなどを搭載したブランク進化、強度の向上、軽量化、そしてジョイントの精度と強度などの技術が結集したシリーズです。これらの多くはアピアが独自に取り組んできたオリジナルの技術なので、初めて体験する新時代のモバイルロッドの世界を感じていただけると思います。
みなさまの夢を追いかけるパートナーになれることを願って。
Bon Voyage
(プロスタッフ村岡昌憲・濱本国彦による紹介動画)


