アピア広報の中井です。
この秋15年ぶりに『ラムタラ』がリニューアルされました。
今回は当時のラムタラの開発経緯や歴史、NEWラムタラの特徴についてお話したいと思います。
元祖ドリフトミノーの誕生
2010年、「ラムタラ」というアピア初のインジェクションルアーが世に送りだされました。当時はただ巻き主体のミノーやバイブレーションを多用し、広範囲を効率よく探るスタイルが主流となっていたと聞きます。
しかし一方で、「流れに潜むランカーシーバスをどう食わせるか」という課題も浮き彫りになっており、アクションが強すぎるルアーでは見切られ、逆に弱すぎれば存在を気づかせることすらできない──。その答えを探る中で、“流れに乗せる”というドリフトの発想が少しずつ注目され始めます。
ドリフト専用設計という革新
そうした時代に登場したのが、プロスタッフ濱本国彦監修による「ラムタラ」です。
※当時の山ほど作成されたサンプルの一部
従来のミノーが「自ら強く泳ぐ」ことを前提に設計されていたのに対し、ラムタラは“流れを受け止め、自然に漂い「ふらつかせる」ことを最優先に設計されました。リップ形状と浮力バランスは、ただ巻きでは控えめに、しかし流れを捉えれば絶妙なローリングとフラつきを生み出し、まさにベイトフィッシュが流れに翻弄される姿を演出しました。
このコンセプトは、それまでのミノーとは明らかに一線を画すものであり、やがてアングラーから「元祖ドリフトミノー」と称される所以となります。
シーバスゲームへのインパクトとメーターオーバーの実績
ラムタラの登場は、河川でのシーバスシーンに大きな変化をもたらしました。
- 単なる“巻きの釣り”から“流れを読む釣り”への移行
- ナチュラルドリフトという新たな戦略の確立
- ランカー攻略の切り札としての定着
特に橋脚明暗部や流心脇でのドリフトが強烈な効果を発揮し、多くのアングラーに「流れに乗せることの強さ」を体感させました。
さらに注目されるきっかけとなったのはただ巻きを主体としたアプローチよりも、ランカーサイズ~メーターオーバーの釣果が各段に上がったことにあると思います。
ラムタラ130でのメーターオーバー(濱本国彦)
雑誌取材中にラムタラで釣り上げた121cmという化け物シーバス(北添貴行)
自分もいつかこんなサイズのシーバス釣りたいっ!(笑)
受け継がれる思想
現在では各社からドリフト対応のルアーが数多くリリースされていますが、その礎となったのは間違いなくラムタラです。
誕生から十数年が経過した今もなおアングラーの信頼を集めています。
そんな元祖ドリフトミノー・ラムタラが2025年、15年ぶりのリニューアルを遂げました。
残すべき特徴はそのまま継承しつつ、さらにブラッシュアップ。
スペックなどから進化したポイントを解説していきたいと思います。
FLとSPLの違い
まずはスペックの紹介と違いについて。
スペック
LAMMTARRA 130FL
- 全長:130mm
- 重量:22g
- タイプ:フローティング
- レンジ:MAX 30cm
- フック:#4×3(BKK FANGS-62UA)
LAMMTARRA BADEL 130SPL
- 全長:130mm
- 重量:25g
- タイプ:サスペンド
- レンジ:MAX 60cm
- フック:#4×3(BKK FANGS-62UA)
浮力性能を根本から見直すため、ボディ形状をゼロベースで再設計。
(上:新ラムタラ、下:旧ラムタラ)
体積を大きく取ったことで、前モデルと同じレンジをキープしながらもウエイトは大幅に増加しています。
(フローティングサスペンド:18g → 22g、サスペンド:20g → 25g)
その結果、フローティングモデルでは水面〜10cmを出し入れする繊細な操作や、V字波紋を伴う誘いが格段に行いやすくなりました。
さらに、アクションを優先させたことで飛距離面に妥協が出ていた部分も、ウエイトアップに加え、アピア独自の重心移動システム「リニアエンジン(PAT.P)」を搭載することで大幅に改善。
“飛距離はあるに越したことはない”というシーバスゲームの絶対的なアドバンテージを、確実に強化しています。
橋脚の明暗攻略においても、もう一段奥のスポットを射程に収めることが可能になり、アプローチの自由度が向上します。
また、フィールドの水深や流速に応じてFLとSPLを使い分けることで、より幅広い状況に対応できます。
FLとSPLの見分け方は目の色で判断できる。(左:黒目はFL、右:赤目はSPL)
使い方
ラムタラは「ふらつき」を最優先に設計されたミノーであり、広範囲をザックリ探るパイロットミノーとは少し役割が異なります。
基本となるのは “狙ったピンにどうアプローチするか” という点で、自然とリトリーブスピードもデッドスロー〜スロー域になります。
濱本国彦氏がよく語る「巻くな、巻きすぎるな」という言葉は、まさにこのルアーの本質。
糸ふけのコントロールが重要で、闇雲に探るのではなく“決めたピンを良い角度で通す”ことが釣果へ直結します。
そのマニュアル感こそが「喰わせた感」を強くし、上級者から支持される理由でもあるのだと思います。
▼より詳しい解説はこちら
https://studio.youtube.com/video/cVKTCs-A2nY/edit
「狙いのピンが定まらない」「オープンエリアでは使いにくい?」という人へ
難しそうに聞こえる部分もあるかもしれませんが、デッドスロー〜スロー域であれば常にシーバスが好むアクションが出ています。
そのため、水深2m未満のエリアであれば、巻きベースでオープンを流す使い方も十分アリです。
まずは“ラムタラがバタつきすぎないスピード”を覚え、そのうえでどんな状況でも気負わず投げてみてください。
また、イナッコボイルのように食わせづらい状況では、あえて早巻きでバタつかせてリアクションを狙うのも有効に感じています。
固定概念に縛られず、「このスピードなら喰いそう」という自分のフィーリングで動かしてみると、新しい発見があるはずです。
都市型河川では足元の壁際をふらふら泳がせてると下から突き上げてくることも♪(LAMMTARRA BADEL 130SPL)
まとめ
改めてにはなりますが、2025年秋、元祖ドリフトミノー「ラムタラ」が15年ぶりにリニューアルを遂げました。
初代は濱本国彦氏が香川県の綾川というシャロー河川で、2年以上の試行錯誤を重ね生まれたルアーです。
ランカー率の高さで名を馳せる一方、“馴染ませる・送り込む・同調させる”という独自のフカセ的アプローチから、「難しい」と語られるほど繊細な操作を求められるルアーでもあります。
今回のリニューアルでは、その本質を崩さず、アピア独自の重心移動システム「リニアエンジン」で飛距離を大幅に改善。
飛距離とアクションという相反する要素を両立させることに成功しています。
使いやすさという要素をプラスで組み込みながらも、ラムタラらしい“良い意味での難しさ”を継承している新ラムタラ。
使いこなした先でこそ出会える“一尾の重み”と“震えるような興奮”。
その体験を求めるアングラーのための、唯一無二のドリフトミノーです。是非全国各地のシーバスアングラーの皆さんに使っていただきたいと思います。
▼こちらも是非ご覧ください!
https://youtu.be/wIP-Ekn6uxM

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