宇津木です。
2024年の年末に「GRANDAGE WORLD OCEAN」というオフショアキャスティングロッドをリリースしました。
アピアとしてはおよそ25年ぶりのオフショアロッドの発売となります。ご存知の方もいらっしゃるとは思いますがアピアは29年前、オフショアのジギングロッドを発売したのがブランドのスタートです。
その5年後にシーバスロッドをリリースしたことで、ブランドとして大きな方向転換を迎えることとなりましたが、四半世紀を過ぎてこうして再びオフショアロッドへと回帰することとなりました。
オフショアロッド開発再始動のきっかけ
きっかけは2018年ごろ、スタジオオーシャンマークの現会長・大塚さんから、久米島のキハダや沖縄のGT釣りに誘っていただいた際に言われた一言です。
「宇津木くんはロッドメーカーなんだから、自分が使う竿は作ってくるでしょ?」
当時、私自身50歳を目前にしており、昔情熱を燃やしたオフショアの世界へ飛び込むなら今しかないとの思いもありました。ですが、オフショアの世界も昔作っていたとはいえ、25年も経つと釣り方もタックルも大きく変化しています。
もう一度一から学び直す覚悟で開発に着手しました。
TORAYCA®️T1100Gとの出会い
そうこうしているうちに、2020年からFoojin’Zのリニューアルで東レさんからT1100GとM40Xの提供が始まります。
ゼータのリニューアルを進めていく段階で、この素材はオフショアのキャスティングロッドにもすごくメリットがあるのではないかと思い始めました。
この頃には年に数回GTやキハダ釣りを楽しんでいたので、試しにT1100Gを入れたオフショアロッドのサンプルを作ってみました。思っていた通り反発力は圧倒的でした。それでいて柔軟性もあり、ルアーの飛距離が従来のオフショアロッドとは比べ物になりませんでした。
(開発段階:826MHプロトタイプ)
アピアでは新しいアイテムを生み出す際に、ひとつの約束事があります。それは何か一つでも突出した性能を持たせることです。他社製品でも代替となるようなアイテムは作らないと決めています。
そういった部分ではT1100Gは従来のオフショアロッドにはない、突出した性能を持つ素材だと確信していました。
さらにオフショアロッドではとても大事な約束ごとがあります。
それは『極限まで破損リスクを減らすこと』です。
オフショアキャスティングの釣りは遠征釣行が多く、私も経験がありますが、遠征先での破損は精神的にも経済的にも大きなダメージになります。そのため、開発時にはブランクの強度を上げることに最も気を遣い、苦労した部分です。
モデル別適応魚種
WORLD OCEANのラインナップはPEラインの号数表記に比例してブランクパワーが上がっていきますが、基本的にはその号数表記なりにさまざまな魚種に対応しています。
たまに「WORLD OCEANはマグロ用ですか?ヒラマサ用ですか?GT用ですか?」と聞かれますが、WORLD OCEANは全てのキャスティングゲーム対応です。対象魚種で使うPEラインの号数によって選択していただければいいと思います。
例えば
824ML:カツオ、ブリ、シイラなど
825M:フィネスタックルでのキハダやヒラマサや、女性のGTロッドにも最適
826MH:キハダ、GT、ヒラマサなど
838H:キハダ、GT、ヒラマサなど
8010HH:ヒラマサ、100kgまでのクロマグロ
7812HHH:クロマグロ
7614MAX:クロマグロ
ざっとこんな感じを目安にしていただければいいと思います。
ちなみにWORLD OCEANの品番は「レングス」→「PE号数」→「パワー表記」となっています。8010HHなら、「8フィート0インチ」、「PE10号対応」、「HHパワー」というふうに読み取って下さい。
スタートから6年。方向性が決まってから4年の開発期間を経て、唯一無二を目指して開発してきたオフショアロッドは、2024年冬に「GRANDAGE WORLD OCEAN」としてリリースを迎えました。
さまざまな方にプロトタイプの段階では助言をいただきましたが、特に824ML〜838Hまでは三重のディープブルーの川口船長に。8010HH〜7614MAXまでのクロマグロ向けモデルは北海道のアピアプロスタッフ、ジャークマン(林準悟)がフィールドで徹底的に鍛えていただきました。
私自身特にすごいと思うWORLD OCEANの3大特徴を下記に箇条書きしてみます。
WORLD OCEANの3大特徴
1) 飛距離
飛距離はブランクの反発力が大きくものを言います。WORLD OCEANはT1100Gの反発力が存分に活かされており、全モデルでわかりやすくこの飛距離が体感できます。ぜひ一度投げていただくことをお勧めします。
2) 強度
これに関しては徹底的に検証しました。他社のロッドも含め相当数の強度比較をしましたが、WORLD OCEANシリーズの強度は突出していると思います。(中にはほぼグラス素材のロッドもありましたが、それらは除きます。)
WORLD OCEANには他のアピアロッドにはないBULK405という技術を入れています。簡単にいうと単一シートに45°で組み合わせたカーボンプリプレグに、405スーパーレジンを組み合わせることで強度を引き上げるというモノです。
このBULK405は重量も若干増えてしまうのでシーバスロッドなどには採用していませんが、抜群の強度が出るのでWORLD OCEANには最適の技術として搭載しています。
3) 弾力性
WORLD OCEANの一番の特徴はこの弾力性だと思います。この弾力性はT1100Gに由来しており、TORAYCA第3世代カーボンを搭載しているアピアロッド全般に共通する特徴です。
キャスト時はシャープでありながら、ルアーの重み、キャストスピードに対応するように実にスムーズに曲がり、最大限の飛距離を生み出します。
また、ヒット時も魚の引きに追従し、決してブランクを叩くことなくスムーズなベンディングカーブを描きながら、同時に反発力でブランクを起こしてくれます。魚もロッドの弾力に誘導されるように寄ってきますので、ファイトタイムも短縮されます。
WORLD OCEANのブランクはどれだけ曲がっても、絶対にバット部分は残るように設計しているので、いざという時にしっかりとリフトできるバットパワーを有するのも、WORLD OCEANの大きな特徴です。
全国で上がり始めた実績
オフショアロッドでは実績がとても大事で、これがユーザーさんへの信頼となります。GRANDAGE WORLD OCEANは発売してまだ1年半ですが、早くも各地で素晴らしい釣果が聞かれるようになってきました。
中でも、何と言ってもこのキハダです!!
(キハダ141kg/826MH@ディープブルー(尾鷲):左アングラー:さつさん、右キャプテン:川口船長)
(WORLD OCEAN 826MH)
驚愕の141kg!!!
ランディングされたのはWORLD OCEANのテストにご協力いただいた三重のディープブルーさんです。
この日アングラーのさつさんはルアーがナブラに届かず、川口船長に「これ飛ぶから、コレ使え!」と渡された826MHに変えたところ、このキハダがヒットしたとのこと。それにしても日本近海でこのサイズがキャッチされるなんて、本当に驚きの大ニュースでした!!テストに協力いただいた船で、こうした魚がランディングされたことは、開発者として本当に嬉しい出来事です。
ディープブルーさんでは824ML〜7812HHHまでのモデルが試釣できますので、事前に川口船長にご相談ください。
もちろんクロマグロも順調にキャッチされています。
テスターのジャークマンはプロトタイプの時代から、200kgオーバーを含め、3桁を相当数キャッチしています。
(クロマグロ230kg/7614MAX:アングラー林準悟)
(クロマグロ160kg/7812HHH:アングラー林準悟)
なんと下の160kgはファイトタイム13分とのこと!!
ジャークマンはクロマグロ釣りでは基本7812HHHがメインで、300kg級を狙う際には7614MAXを使い、逆に100kg以下の小型が多い時には8010HHと使い分けているようです。
北海道でもいくつかの遊漁船でWORLD OCEANを実際に試せるようになりました。
・北海道福島町 剛庄丸
・北海道福島町 泉将丸
・北海道函館 BLACK MANBA
・北海道積丹/苫小牧 桜丸
・北海道積丹/苫小牧 Cherry
主にクロマグロを対象にしたモデルが試投できますので、ぜひとも船長さんにお声がけくださいませ。
他に鹿児島でもアピアテスターの溝口くんがキャプテンを務める「太郎丸」でもWORLD OCEANを試すことができます。
溝口くんはテスターという立場もあり、WORLD OCEANについては熟知していますので機会があれば、ぜひ色々と質問してみて下さい。
(GT/826MH@鹿児島県佐多岬 アピアテスター&太郎丸キャプテン:溝口太郎)
あと個人的にはオーストラリアのココス諸島へ釣行した際に、村岡さんが釣ったセイルフィッシュには痺れました!!
一瞬のチャンスをモノにするあたり、やはり持っている男は違います!
(モンスターセイル:アングラー村岡昌憲@ココス諸島 )
その他GTやヒラマサなど各地で素晴らしい釣果が報告されています。
(GT38kg/838H:アングラー高橋優介さん@宮古島)
(ヒラマサ28.5kg/838H:アングラー山端さん)
新しいオフショアゲームの世界へ
先ほども言いましたが、WORLD OCEANは全魚種対応のキャスティングロッドです。これだけ最先端素材TORAYCA T1100Gの特徴がかなり色濃く出ているロッドは他にありません。ずば抜けた飛距離と、弾力性に富んだブランクが生み出す、新たなオフショアゲームの世界をぜひ体感してみて下さい。これまでのオフショアロッドとは異なるフィーリングを、きっと体感していただけると思います。
あの時の「自分が使う竿は作ってくるでしょ?」という大塚さんの言葉に押されて、25年ぶりに始まったオフショアロッドの開発でした。しかし、振り返ってみればその25年は決して遠回りではありませんでした。
圧倒的に進化した素材に加え、シーバスやライトゲームなどさまざまなジャンルで培ってきたロッド開発の経験。
その積み重ねの全てが、当初の想定を遥かに超える新時代のオフショアロッド「WORLD OCEAN」を生み出しました。
こうしてみなさまにお届けできることを、心から嬉しく思います。



