昨年の秋シーズンに獲れた十数本のランカーシーバス。その8割程度をキャッチしたAPIAの「DOVER99F」。やはり今年もその圧倒的な存在感は健在。このルアーのランカー捕獲率の高さは際立っており、自分にとって今世紀最大の武器。もはや、ユーザーにあまり使って欲しくないレベルだ(笑)。最近よく現場で会う釣り友からも、「今日もランカー1本、今日も70UP3本、今日も60UP3本、全て99Fです!」と嬉しい報告。超ハイプレッシャーフィールドでもある愛知県のフィールドでここまでの結果が出ているのも、やはりこのルアーの構造が「現代のシーバススタンダード」として、食い渋る現代のランカーシーバスの食性に対し、ほぼど真ん中の仕様に持ってきてあるからだと思う。
思考をはるかに凌駕する現物の飛距離と
超感度レスポンスがもたらす釣果。
まずは何といっても飛距離。同ウェイトのバイブレーションよりはるかに飛ぶという驚異の実力。普段ウェーダーを履いて狙う場所をおかっぱりから直撃できる。ここは自分が「おかっぱりルアー」として強くお勧めしたい理由のひとつでもある。普段狙う橋脚よりもう1本先の橋脚までが視野に入る。以前、生みの親である松尾さんとの会話の中で「99Fなんであんなに飛ぶんすか」という質問に対し、「わからん(笑)」といった回答があったのがとても印象的だった。もちろん、そこには設計的な狙いの飛距離はある、しかし現物はそこをはるかに凌駕する何かがある、という意味だ。
そして、次に優れているポイントは「巻きに対する超感度抜群のレスポンス」。着水したその時点から食わせの揺らぎを発動できる。着水時のルアーの姿勢をよく観察して欲しい。水噛みまでのルアー動作に一瞬で入れる姿勢を保っている。着水時のウェイトの位置が緻密に計算されているのだろう。そして初動に人工物らしい違和感が少ない。ルアーは着水した時点から見られている。着水からの動き出しがいかに早いか、どれだけナチュラルか、この巻き初めのレスポンスの良さは釣果に大きく寄与している。
大きな個体が簡単に捕食する環境条件アクション。
そしてアクション。現代シーバス向きな少し弱めのアクションの中でも、強すぎず弱すぎない。ここはなかなか口で説明するのが難しいところなのだが、水量のエネルギーが少ない時はしっかり巻いて強すぎない波動を出す事ができ、水量のエネルギーが大きい時は、水噛みをぎりぎりするかしないくらいで巻くと、絶妙な浮遊感を持ったいわゆる「食わせの揺らぎ」で、流れと同調もしくは流れに負けながら動かすことができる。大きな個体が簡単に小魚を捕食しやすい環境条件にいかに容易に合わせこめるか、これを見てくれているアングラーならきっとわかってもらえると思う。
9センチミノーに#4の漢フック。
そしていかにもAPIAらしい99mmボディに#4フック。掛けてからの安心感が半端ない。今のところDOVER99Fで掛けたランカークラスのシーバスをばらした記憶はない。手前で暴れる巨体と格闘している時も慌てる事がない。もはや大きいフックを採用する文化はアピアのアイデンティティでもある。これ以下のサイズのルアーに#4を採用するようになってきたら、全力で止めに行きます(笑)。
このルアーに確信している。確実に持っていて損はない。
浮力をもったファットなボディも、小さめのリップも、#4フックも、全てはランカーシーバスを確実に捕獲するため、そんな魂のこもったプロダクトがDOVER99F。APIAアンバサダーからも「神ルアー」とされる位置づけ。本当に良いルアーだと思うし、地元でランカーシーバスを狙うアングラーには間違いなく助けになってくれると確信している。ナイトゲームであれば、マツデラやCHモヒートが鉄板カラー。既にこのルアーの脅威に気づいているアングラーが徐々に必須アイテムとして集めてくれている。多分、近所の釣具屋さんでは既に入手困難なカラーもある。もちろん上記2色以外でもしっかり釣果出ているので、まだ使った事がないアングラー、おかっぱりからランカーシーバスを捕りたいアングラーに、この時期、本当に心からお勧めしたいルアーだ。
APIAフィールドテスター 内田聖