RED NAKAMURA'S IMPRESSION

Foojin'AD

PODEROSA 102M 「ルアーの使用範囲拡大と柔軟なやり取りの実現がもたらす高いゲーム性」

ロックショアでマルスズキを狙うスタイル(いわゆる磯マル)は、比較的新しいジャンルの釣りだ。当初のスタイルは沖の潮目を回遊するシーバスを迎え撃つスタイルが主流派だった。当時は様々なタイプのフィールドが開拓されることによって、磯マルゲームも多様に変化していく過渡期にあったと思う。初代・「Foojin'go ポデローサ」を経て、2代目の「Foojin'AD ポデローサ」はより磯でのパワーファイトを想定したものであった。今回の3代目を制作するにあたっては多様化する磯マルゲームに対応し、従来の純粋な磯場に加えてゴロタ、サーフに岩盤が入るようなエリアも視野に入れてパワーバランスをとっている。また、シーバスの狙い方も回遊モノを狙い撃ちするばかりでなく、手前のスリット地形やゴロタのポケット等、いわゆる居着きタイプを攻略するのも数を伸ばすコツとなる。特に晩秋のトウゴロイワシがショアに寄っている時に、手前のちょっとした地形変化に居着きが潜んでいる可能性は高い。回遊ものを狙う場合は125~140mmクラスのミノーを使い、どちらかというと強いアピール力でシーバスを寄せて食わすのが基本。一方で居着きタイプを攻略するには大型のミノーよりも食わせの要素が強い100mmクラスのミノー、シンキングペンシル、デイならば鉄板系バイブといった、'小型~中型の多彩なルアー'が必要となってくる。特に小型のルアーで掛けた後で心配なのはバラシ。磯で使うような従来のMやMHクラスのロッドと小型ミノーの相性はそれほど良くない場合が多く、ファイトには気を使う場面が多かった。以前より、この小型ルアーを使った場合のバラシ防止のために低弾性~中弾性のコンポジットも考えたが、バット部が太くなってしまう上に、大幅な重量増になってしまう。そこで採用したのが'ナノアロイ'というムッチリとした粘るブランク特性を備えた素材の採用だ。この素材は非常に軽く、ロッド自体のパワーを落とさず、シーバスの暴威によるフックアウト、もしくはフックの伸びというトラブルを軽減することができる。新しいポデローサは、ルアーの使用範囲拡大と柔軟なファイトを獲得できたことで、現状にマッチした戦略性の高いゲームが可能になった。

使用写真
使用写真