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2018.09.10

開発コラム~【水辺を共に歩むモノ ‐ 前編】 by 松尾道洋

DSCN5154.JPG間もなく発売を迎える『DOVER 120F Riva』。それが何たるかを記する前に、そのオリジナルモデルである『DOVER 120F』を世に送り出すまでのストーリーから、是非皆さんには知って頂きたいと思う。
2011年秋にアピアに加入した当初、決して豊富とは言えなかったのがルアーのラインナップである。用途別に整然と整理されたロッドがズラリと並んでいる一方で、なぜルアーはこうも遅れを取っているのか不思議なところでもあった。考えてみれば、それぞれのプロがルアーメーカーと契約、または勤務して看板テスターとして活動している為、アピアはあくまでも「ロッドメーカー」というスタンスで動いていたのかも知れない。ルアーはプロ監修のモデルとアピア主導のモデル、2つのラインで成り立っているが、そのいずれを足しても日常のシーバッシングをアピアルアーのみで完結できる状況にはなく、フィールドワークでは他社製品に頼らざるを得なかった。加えてプロ監修のモデルはどちらかと言えばクセがあり、我儘いっぱいで作り上げられている。これはアピアの大きな魅力でもある一方で、多少の罪悪感すらあった部分でもある。開発者のコンセプトに自分なりのアレンジを加えて魚を釣るのは簡単な事だが、そうなるとルアーは何でも良く意義が無くなってしまうからだ。故にもっとフラットに使えるルアーが必要と考えるのは自然な事だった。
どんなルアーメーカーにも投げ続けられるパイロットルアーというものがある。だが、当時のアピアにはそれが無かった。誰でも簡単に、究極を言えば一日通して延々と投げ続けられるパイロットルアーのシリーズ開発は当時から急務だった。
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(初代DOVER120Fのファーストサンプル。無塗装のブランクがいかにもプロトらしさを醸し出している)

DOVERシリーズの開発着手は上記が主な理由であるが、完成するまで一筋縄ではなかった。各地にテスターを配すアピアでは、それぞれが必要と感じるパイロットルアーの定義にズレがある。例えば、広島河川であれば流れを考慮するところを他所では必要としない場合もある。泳ぎよりも飛距離が欲しいという意見もあれば、レンジキープが最も重要という声もあった。それらを一つのルアーに纏める作業はほほ不可能だが、多数の意見を中立的に反映し時間を掛けてじっくりと作り込んだのが初代のDOVER120Fである。

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シーズンの皮切りや新開地、遠征先などでこの初代DOVER120Fは様々なドラマフィッシュを呼んでいる。個人的に印象に残っている魚は、高知での川ヒラと新潟でのタッグバトルで出た魚であるが、特に後者は初めての遠征先で、タイムリミット数分前にバトルのキッカーフィッシュを連れてきてくれた。これは「初めての場所で投げ続けられる」というパイロットルアーとしての大きな役割を果たしてくれた瞬間でもあった。
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