思うに、シンキングペンシルというジャンルは非常に不明瞭であやふやなカテゴリーである。ミノーやバイブレーションのようにこれと言った定義も無く、ジャンル不定のルアーが出て来るととりあえずシンキンペンシルにカテゴライズされてしまう。まぁそれだけ幅が広く、自由度が高いジャンルで僕としては今後大いに発展するジャンルだと思っている次第だ。
さて、『ハイドロアッパー』であるが、外見上はいわゆる'リップ付きシンキングペンシル'と言われるタイプ。通常ならば水を噛みやすくするためや、流れの中で浮きにくくするため、レンジキープをしやすくするためにリップを付加するケースがほとんどだ。しかし、ハイドロアッパーは今までのリップ付きシンキングペンシルとは少々コンセプトが違う。
シャローゲームをライフワークとする僕にとってシンキングペンシルは欠かせない存在である。しかし、表層直下レンジに特化したシンキングペンシルと言うジャンルにおいては未だ決定的というモデルが無い。バチ用の細身のタイプだったら、表層直下レンジを攻略可能なのだが、ベイトフィッシュライクなシルエットにすると自重があるため、なかなか理想と思える表層直下レンジをキープさせることが難しいのである。
そこで考案したのが通常とは逆の角度を持つリップ構造だ。リトリーブをすることで受ける水を下方向へ逃がすことでボディ自体を表層直下レンジまで上ずらせる手法だ。
これによってルアー自体の重量が90㎜で17gとサイズの割に重いが、上ずりやすいリップ構造のために表層直下レンジのキープか可能になった。その飛距離も魅力的だが、このベイトライクなシルエットで表層直下をシンペンアクションで攻略できるのだ。
表層~表層直下というレンジは派手に捕食する姿とは裏腹にルアーに対してセレクティブになりがち。代表的なのはイナッコパターン。シーバスがガンガンボイルしているのにルアーには見向きもしないという光景は関東のアングラーにはお馴染みのはず。ウエイクベイトでは派手すぎる。シンペンではちょっと深い。トップには出てくれない。こういう状況でのチョイスにハイドロアッパーを使うのが本流だ。
また、アクションはデッド~スローでは小刻みなロールが主体、ミディアムでは振り幅1㎝ほどのタイトなシンペンアクションをする。あえて派手過ぎない抑えたアクション特性を採用することで、代表的な表層系ベイトパターンのイナッコばかりでなく、サヨリやバチ、アミなどにも対応できるような設定にした。もちろん、小型ながらジグミノー並みの飛距離を生かして、外洋のサーフや磯などのマイクロベイトパターン全般にも対応できる万能型のルアーでもある。
一見、ボイルやモジリが見られないような状況でも是非様々なシチュエーションで試していただきたい。
RED中村について
通常とは逆の角度を持つリップ構造を採用。リトリーブをすることで受ける水を下方向へ逃がし、ボディ自体を表層直下レンジまで浮上させる事が可能になっている。重量は90㎜で16gとサイズの割に重いが、「巻けば浮き上がる」という構造上、遠浅の干潟や汽水湖など、水面直下のシャローレンジをキープし続ける事が出来る。遠投性能も魅力的だが、水面に作りだされる波紋やベイトライクな動きなど、ハク・サヨリパターンを中心に多くの表層系ベイトパターンを攻略できる。
[全長] 90mm [重量] 16g [タイプ] シンキング
[アクション] 可変タイトロールアクション
[フック] #6×2pcs
[本体価格] ¥1,600(税込価格:¥1,760)