「APIAのルアーの歴史はパンチラインと供にある」と言っても過言ではないだろう。私がアンバサダーになった時には既にラインナップされておりそれ以降もサイズ、ウェイト、形状と派生モデルが次々と開発されていった。パンチラインのアイデンティティとも言えるフラットヘッドの役割は「流れを掴むこと」であり、多くのアングラーのシンキングペンシルに対する「取っつきにくさ」という課題を解決してくれたことに違いない。
パンチラインシリーズは比較的重めのウェイト設定とフラットヘッドという状態感知センサーによって「大場所を巻きで広く探ることのできるルアー」として使い易い。しかし、私の地元のような都市部フィールドでは、小場所だったり、水深1m以下のシャローエリアだったり、現在のラインナップでは全体的に「早い」操作が必要となり現場に合わせ込みきれない状況もあった。もっと動きが小さく、シャローでもスローに攻めれるもの、流れの変化に対し高感度に反応するものが欲しい。この現場から生まれる課題を解決するために「PUNCHLINE CURVY 70SS」の開発が始まった。
愚直に現場に合わせ込んだシンキングペンシル
一口で食われる70mmというコンパクトボディをベースに、後方部にたっぷりと浮力を確保する事で僅かな潮流の変化に反応する「超高感度ボディ」を実現。
横の流れを受けやすい形状のため、ひとたびヨレの中を通すと流れの影響をもろに受け、流れに負ける小魚のような「隙」だらけの挙動を示す。
PUNCHLINE70SSのフラットヘッドは水をあまり噛まないように小さめに設定。アップクロスや横のリトリーブでは極めて水を噛まないためラインがたるんだ状態になる。ゆっくりとしたS字で艶めかしく見せながら、ナチュラルドリフトする姿は圧巻の仕上がり。人為的なアクションがルアーに伝わりにくく、ルアーの違和感を排除している。
ウエイト配分はぎりぎりの調整を開発最終段階まで行い、シリーズ内で「最も遅い沈下速度」と「水平姿勢フォール」を実現した。
これによりシャローエリアや流れの弱いエリアでも「見せる」フォールが使え、きれいな水平姿勢のまま、明暗シェードの奥の奥に静かに流し込む事も可能となった。
フラットヘッドの上部には微小な上向きのフラット面を配置。このフラット面が上から水圧を受ける事と後方浮力のバランスで、リトリーブ中でもきれいな水平スイム姿勢を保つ事に成功している。また高速リトリーブではミノーライクだが時に不規則なアクションも発動可能となっている。
ファットボディでありながら、極力空気抵抗をなくすようにボディ設計されており、飛行姿勢も安定しているため十分すぎる飛距離を持っている。
「軽さと飛距離」を両立する現代ルアーの基準を1ランク上げたと言っても過言ではないだろう。
「意識の外側」で食わせる能力
このモデルは同時に開発を進めていた3機種の中でも「最多数安打」となったルアーでもある。特に印象的だったのは秋の明暗部。アップクロスでキャストして明暗部に流し込み、暗い側に入った後のシーバスの反応をみようとしたのだが、明暗に差し掛かるよりもかなり前に食われるバイトが3連発した。
明らかに全て「想定外のバイト」だった。このルアーはとにかく高感度なので、自然の力がきっかけでバイトに至り、人の意識以外の部分で食わす力が働いている。
以降も予期せぬバイトが多発。上級者の経験値がアドバンテージにならないくらい、「意識の外側で食わせる能力」が高い。
PINCHLINE "CURVY" 70SSはまさに「曲線美」。形状は機能に従う。
パンチラインの派生モデルという位置付けだが、完全なゼロスタート。もはや冠しか持たないと言ってもおかしくない。「パンチラインの新しいモデルを作る」という意志は全くなく、自分なりにひたすら現場に合わせこんだ新しいシンキングペンシルの開発に挑戦するという意志である。
ではなぜパンチラインか?最初に述べたように、APIAにとってパンチラインは「歴史」であり、すなわちそれは「挑戦の軌跡」だからだ。
内田聖監修。従来モデルに対し、ボディ後方浮力をふんだんに確保したぽっちゃり(CURVYカービィ)ボディを採用。周囲の流れに敏感に反応する高感度ボディ、シリーズで最も遅い水平姿勢フォールを実現。
これにより、シャロー攻略、ナチュラルドリフト、明暗部流し込み、橋脚ヨレ攻略など、ハイプレッシャーフィールドで有効な小技を効かせたメソッドを対応可能とした。
[全長] 70mm [重量] 11g [タイプ] スローシンキング
[アクション] S字スラローム+ローリングフォール
[フック] #8×2pcs
[本体価格] ¥1,580(税込価格:¥1,738)