MICHIHIRO MATSUO'S IMPRESSION

LAPAGE 85MH

「過去と現在の工法技術の融合が可能にしたランカーハントモデルの新しいカタチ」

新機種として開発に着手した時、(2014初旬)アピアを象徴するADシリーズにおいて8ft.レングスのロッドはラインナップに2本。近年、長尺ロッドでも軽量化が進み操作性が向上する中、かつての主流だった8ft.レングスのウェーディングロッドは出番を減らしつつある。メインとして9ft.、スーパーサブとして8ft.という図式だったものが、それぞれ1tfずつ伸びたという所だ。これは先にも書いたように、マテリアルの進化で長尺でも操作性が上がっている事に加え、飛距離優先の時代に突入した事が背景にある。こういった流れの中で、あえて8.5ft.というウェーディングロッドを造る意味、自分にとってその必要性とは。まずKEYとなっているのはシーバスゲームのタクティクス・道具のマテリアルが以前よりも格段に向上しているところ。飛距離においてはロッドだけではなく、ルアーも進化を見せており、今は100m先の魚を狙える時代になってきた。

当然100m先の魚をフッキングに持ち込むには大きなアワセが必要だが、長尺で曲がれば曲がるほど、それを補うアワセが必要になる。試しに100m近くラインを出して、ルアーを握ってアワセて貰えれば、いかに力がルアーに伝わっていないかが分かると思うが、恐らくショックを受けるはずだ。また、いかに長尺が軽くなったとは言え、操作性は8ft.レングスに遠く及ばないのが実際である。進化したマテリアルで軽く強い、粘りある8ft.レングスを造る。遥か遠くの魚を小さな力でカウンター的にフッキングに持ち込み、粘りのある新しいブランクで獲る。僕の中では、今回造るラパージュは過去と現在の工法技術の融合が可能にしたハイブリットという認識でいる。テイストは言わずもがな、ランカーを意識したロッド。新しいヴァンクール同様、厳しいテストをクリアしている。

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VANCOOR 92H

「VANCOORは大きな負荷を掛ける釣りに対峙してこそ真価を発揮する」

ADシリーズにおいて最も強いモデルとして生まれたVANCOOR92Hも、今シーズンで3年目となり、ブランクに新たな素材を採用して生まれ変わった。新工法がダイレクトに新鮮な使用感へと表れており、ランカーハントモデルとしての完成度を更に高めている。VANCOORが持つ従来コンセプトを継承しつつ、新しい素材の特性を生かした粘りの部分は、主にファイト時にその片鱗を見せてくれる。特に魚を掛けてからのブランクの追従。パワーロッドの場合、この追従に関してはテーパーなどで補っていた部分があったが、その部分を素材特性で補う事が出来る様になると開発の自由度が増す。張り感が重要なロッドである事に加え、そこに粘りが共存するとなると、中身こそ複雑だがロッドは至ってシンプルに完成形を見る事が出来る。とは言え、VANCOORの位置付けは大きな負荷を掛ける釣りに対して存在しているからこそ価値があり、このロッドの特性が姿を見せるのは、4キロを超えるシーバスとファイトして初めて感じられる部分である。今回のモデルチェンジでは新素材並びにガイドの変更も掛かり、耐久性の部分において随分と過酷なテストを繰り返してきた。開発に掛けた時間は勿論だが、ランカーハントモデルとして必要とされる耐久テスト内容は、ランカーの捕獲数を第一に優先すべきと考えている。2014年度の春からテストが始まり、最終形を見たのが年末。ほぼ1年を通して複数のプロトを重ねてきたが、最終のトライアウトを終え製品化へと進むまでに、80UPを70本近くキャッチしている。これはランディングに至るまでに起こるシーバスのランや、ランカーの大きな首振りストロークを新しいブランクがしっかりと追従してこその結果である。

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松尾道洋について