MASANORI MURAOKA'S IMPRESSION

Foojin'AD

BANKER 111MX「サーフキャスティングモデルとして醸成した新しいカタチ」

2013年と2014年は全国各地のサーフでロッドを振る機会があった。その時に使っていたロッドは磯のヒラスズキ用のロッド、バックⅢである。11.1ft.のレングスであるが、Foojin'ADであるからにして、当然軽い。10.4ft.のハイローラーもよく使ったが、18cmの差は飛距離に大きな差をもたらす。40gのジグであれば10m近くは距離に差が出る。遠投ばかりのサーフキャスティングゲームにおいて、10mアドバンテージは釣果に直結するのである。だからテレビ取材など外しが効かない場面ではほとんどバックⅢを使用していた。しかし、バックⅢはさすがに磯ヒラと磯場でファイトする為のパワーも備えている。そのパワーゆえに、相当な上級者でなければバックⅢを振り切るというのが難しいのである。そう感じていた矢先にこのモデルの開発依頼の声が掛かった。個人的にはバックⅢで十分と思っていたのだが、ヒラスズキ用のモデルシリーズが始まると同時にバックⅢもそちらの方向へ移行してしまうということで、このバンカーの開発監修を承諾。意識したのはハイローラーとの使い分け。キャスティングバランスやアクションバランスをしっかりと意識して、ハイローラーのフィーリングでしっかりとジグやミノーをキャストできる様なイメージを大事にした。サーフキャスティングで多用する20~50gぐらいのルアーをペンデュラムキャストで投げ込めるスローテーパー設計。サーフはアングラー後方の地面が盛り上がって高いために垂らしを長く取れない。砂に触れない垂らしの長さから短い移動距離でしっかりとウェイトがバットに乗っていくように、かつナノアロイの反発力でしっかりとリリースのタイミングまでにティップスピードが最高速になる様に調整を繰り返した。魚が掛かったらしっかりとバットパワーで魚の引きをためつつ、曲がってから出てくるパワーでヒラメなどのフラットフィッシュをしっかりと浮かせる。また、スローテーパーデザインなので波打ち際ではロッドがフルベンドし、不本意なフックアウトを極力防止。また、ロッドが長い分、波っけのある時はラインを上方に捌きやすくなり、砂が原因で起こる様々なトラブルを防ぐことも可能。サーフで使いやすく、しっかりと飛ばせるロッドがここに誕生した。

使用写真